475KHz帯の送信機製作その2
「まな板」に作り始めた送信機のその後です。 始めの設計で考えていた系統は、ICによる発振部(この前の記事)→ 6BA6 → 6CL6 → 813 でしたが、そこを少し考え直して6BA6以降を → 5763 → 813 に変更しました。 また、最初の「まな板」は少し小さかったので、大きい板をホームセンターで仕入れて組み直してみました。
やはり板の上に組み上げて行くのは楽です。 普通ならアルミシャーシーなどに穴をあけたり、 パネルを付けたりと大変なのですが、 板なら例え失敗しても位置替えも楽々、ここまでは1時間もかからずに進みました。 取り敢えず5763までの動作確認をして見ます。 出力コイルのプレート側から4700pFを通して20kΩほどの抵抗を負荷にして動作させて475KHzの出力最大に各段の同調をとっておきます。
さて、終段の813はフィラメントが10V 5Aなのですが、 手持ちのパワートランスには12.6V6Aのみで10V端子が無いので12.6V端子に降圧抵抗を入れる事にします。 ここで超簡単オームの法則より R = E / I ですから、
12.6V - 10V = 2.6V ∴ 5A 流して 2.6V 下がればいいので、2.6V ÷ 5A = 0.52 Ω の抵抗をシリースに入れればOKです。 実際には1Ω10Wのセメント抵抗を2個並列で0.5Ωとして端子の片側に入れ、更にもう一方に0.2Ω5Wを入れて合計0.52Ωにするという、姑息な手法でこの問題は解決です。
その後さらに考えを変えて「813を横にして使おう。」と思いたち、写真の様にセットしてみました。
トランスにぶら下がっている2本の四角い棒がセメント抵抗です。 こうやって真空管を点灯させて「ニタニタ」している時が一番楽しい段階ですね。
いよいよ終段の出力部分に入りますが、周波数が低いのでコイルのインダクタンスやバリコンの容量が普通?のHF帯バンドと比べてかなり大きい値になります。 難しい理屈はともかく、 諸先輩方の製作を参考に進めてみました。
まずプレート側のRFCは、直径15 m/mの棒コアに0.4 m/mエナメル線を400回巻きにして、LCメーターで測ると大体13mHです。 これなら多分OKとみてこのまま採用。
プレートタンクコイルは、空芯で作るとなれば結構な大きさとなりそうなので、 ここはトロイダルコアで作ります。 先輩JA7NIさんのマネをして、アミドンのコアを2個重ねて1 m/mエナメル線を70回巻き約114uHを得ました。
プレート側バリコンは、高圧バリコンならベストなのでしょうが、 ここは送信機の ”試作” と割り切って受信用で試すことにしました。 仲間内に聞いてみたらJA7GYPさんが3連バリコンをお持ちだそうなので分けてもらう事に。 後は手持ちの物で何とかなりそうです。
プレート電圧が 750V なので、このバリコンでは少々心許ないけれど、「万一スパークするようならパワーを落とせばいいべ。」と成り行き任せです。
全部出来たところで試運転。 変な動作があったので、調べたらちょっとした誤配線というオソマツ。 その後再動作、特にスパークなどを起こす事も無く、出力は約50Wを確認しました。
動作を確認したところで、 フィラメント電圧降下用の抵抗と、ついでに球も冷やそうと思って、クーリングファンなどを取り付けて、「まな板式475KHz送信機」は出来上がりとなりました。
813のプレート電圧は750V、 スクリーン & 前段の+B は270Vですが、ケースは無し、カバーも無しなので感電の危険性マル出し。 で、キャッチフレーズが、
「飲んだらサワるな。」「サワるなら飲むな。」
現時点で475KHz帯の免許は得ていないので、実際に使用する事は出来ません。 免許の申請をするかどうかは今の所決め兼ねています。 このバンドの免許を得るには色々とクリアすべき条件が多く、そのハードルも結構高いので、作ってみただけで終ってしまいそうな気がします・・・。